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創業前に融資を受けるためには?

これから個人事業主や法人化してスタートしたいが、貯金は少なく事業資金が足りなくてどうしようかと足踏みしている人も多いのではないかと思います。そんな方の悩みを解決する創業融資制度と融資を成功させるポイントについて説明します。

1.個人事業主でも利用が可能な創業融資制度とは?

創業するためには、いくつかのハードルを乗り越えていく必要がありますが、その中でもお金の問題は最も大きなものと起業家の間では思われているところがあります。2020年中小企業白書によると、創業(起業)できない理由のトップが「資金調達が困難」(32%)となっています。このように資金調達は創業の大きな課題であるため、公的機関による創業融資制度が用意されており、代表的な創業融資制度として、国によるものと市区町村によるものがあります。創業融資は個人事業主でも法人でも同じように利用が可能です。

まず国による創業融資ですが、こちらは国の金融機関である日本政策金融公庫が行っています。国の創業融資のメリットは、無担保、無保証であることと、融資の申し込みから融資実行までの期間が短いことです。市区町村の創業融資と比較すると金利は少し高くなりますが、融資を早く受けたいという方にはおススメです、

次に市区町村が行う創業融資制度ですが、こちらは事業を行うまたは事業を行う予定の市区町村に融資の申し込みを行うもので、融資は金融機関が行います。こちらのメリットは、利率の一部又は全部を市区町村が負担してくれることです。ただし、保証協会への申込や、市区町村の行う特定創業支援事業の認定を取得する必要があるため、国の創業融資と比較すると、融資実行までに時間がかかるというデメリットがあります。

2.創業する前に融資を受けるべき?

創業融資は、創業する前の創業予定者または創業スタートし2期目の決算を迎える前までの事業者が対象になりますが、できるかぎり創業前に融資の申込を行うことをお勧めします。なぜなら、通常事業資金の融資を受ける場合には、決算書の提出が必要ですが、創業前であれば、まだ事業を行っていないため決算書はあるはずもなく、決算書の提出が不要だからです。
金融機関はお金を貸すときに、事業者の実態を見て融資の可否を判断します。決算書は事業者の実態そのものです。決算内容が良ければ希望の融資が通る可能性が大きくなりますが、決算内容が悪ければ希望の融資が通る可能性は低くなります。一方、創業前は決算書がないために、金融機関は事業計画書によって事業の可能性を判断します。このことは、金融機関が「結果」ではなく「可能性」で融資を判断するということであり、融資ですが実質投資的な性格を帯びています。「結果」ではなく「可能性」で融資をしてもらえるのは創業融資だけの特権なのです。

3.融資が通る事業計画書とは?

それでは融資が通るためにはどのような事業計画書の作成が必要なのでしょうか?金融機関が見るのは事業の実現性と事業の強みという2つのポイントです。
事業の実現性とは、事業計画の内容が実現可能なものであるかどうかということです。事業の実現可能性を判断する際、重要なのが「今までどのような仕事を行ってきたか」と「なぜその事業をおこなうのか」という2つのポイントです。例えば、今まで働いてきた業界と、創業する業界が同じ場合は、業界の専門スキルを身に着けているので、事業の実現の可能性が高いとみなされます。逆に、異業種での創業を予定している場合は、なぜその事業を行うのかという説得力のなる内容が必要になります。
従来広告代理店で勤めていた方が、個人で広告代理事業をやるというのは、創業融資を受けるにはプラスポイントになるでしょう。

次に事業の強みというポイントです。どんなに実現可能性がある事業計画であったとしても、これから進出していく市場には数多くのライバルが存在するわけですから、数多く存在するライバルの中から、顧客にあなたの事業を選んでもらう必要があります。そのためにはライバルとの差別化ポイントが必要となります。差別化ポイントがない場合、市場競争に負ける可能性が高くなり、事業の継続が困難と判断されてしまいます。
特に広告代理事業では、いままでいた会社がライバルになる可能性もありますし、大手から中小企業まで数多くの広告代理店があるのはご存知のとおりです。その中でどうやってか勝ち残っていくのか?を論理的に示す必要があります。前職を円満退社をし、前職より安定的な広告の仕事をもらえるというのもプラスポイントになります。

4.その他信用度を上げるポイント

上記のように事業計画書は創業融資を受ける際に最も重要な判断材料となるわけですが、それ以外に気を付けるべきポイントはあるのでしょうか?金融機関は融資を行う際に、必ず借主の信用情報を調査します。金融機関は返済能力があるかどうかということを、事業計画書以前の問題として考えていますので、借金の返済に遅延があるかどうかは融資に大きく影響します。したがって、借金がある場合、きちんと返済を行っているかどうかということが重要になります。返済の優先順位を間違わないようにすることがポイントです。

5.融資後気を行けること

信用調査、事業計画書の審査を経てうまく融資に成功したと後は、基本的に返済するだけで特別に何かしなければいけないということはありません。しかし、できるだけ融資担当者とコンタクトを取って、事業の進捗状況などの報告を行っていくなどをしたほうが良いです。お金の貸し借りは、貸し手と借り手の信頼関係の上に成り立つものです。事業が上手くいく、上手くいかないにかかわらず、ありのままを報告して信頼関係を築いておくことが、今後の対応に繋がってくるものです。ビジネスを成功させるためには、いかに相手、顧客の立場に立って考えるかという視点が不可欠です。金融機関は直接的な顧客ではありませんが、顧客と同じように相手の立場に立って、付き合っていくということを忘れないようにしましょう。