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個人事業主の開業手続きは簡単?法人との違いとは

会社を退職して個人事業主となるには、開業手続きが必要になります。

「開業手続き=複雑で難しそう」というイメージを持つ人が多いですが、実は必ず提出しなければならない書類はたった2枚だけなのです。

今回は、意外にも簡単な個人事業主の開業手続きと、開業準備としてやるべきことについて解説します。

個人事業主と法人の手続きはどう違う?

一括りに「開業」と言っても、個人事業主と法人では手続きが大きく異なります。

個人事業主として開業する場合、必要なのは「開業届」と「事業開始等申告書」の2枚を提出することのみです。
また、初期費用もかかりません。

対して、法人設立の際には定款の作成や登記をする必要があり、手続きが非常に煩雑なものとなります。
初期費用は設立手続きに20万円ほど、その他に資本金も用意しなければなりません。

個人事業主と法人にはそれぞれにメリット・デメリットがありますが、その中でも「開業手続きの簡単さ」は個人事業主の大きなメリットの一つです。

個人事業主の開業手続き

個人事業主の開業手続きで必要となるのは、以下の届出です。

● 開業届
● 事業開始等申告書
● 青色申告承認申請書(青色申告を選択する場合のみ)

ここからは、それぞれの届出方法を解説します。

開業届

開業届は、国に対して事業の開始を報告するための届出です。

書類は国税庁のサイトから取得するか、税務署窓口で受け取ることができます。

提出方法は所轄の税務署への持参か郵送、もしくは国税庁のオンラインサービスより電子申請も可能です。

開業届に記入する内容は、氏名や生年月日、個人番号、事業の概要などです。
それぞれの項目に沿って進めていけばそれほど時間はかからないでしょう。

提出期限は事業を開始した日から1ヶ月以内とされていますが、提出しなかった場合でも罰則はなく、税務署から注意を受けることなども基本的にはありません。

しかし、開業届を提出しないと青色申告ができなかったり、屋号を使用した銀行口座が作成できないといった問題も発生します。

自営業に限らず副業やフリーランスとして働く場合でも、事業を継続して行うのであれば開業届の提出義務があります。

罰則がないからとスルーしてしまわず、ぜひ届出をしておきましょう。

事業開始等申告書

事業開始等申告書とは、都道府県に対して事業の開始を報告するための届出です。
提出先は各都道府県税事務所です。

書式や内容、提出期限などは都道府県によって個別で定められており、こちらも提出しなかった場合の罰則はありません。

また、事業開始等申告書を提出していなかったとしても、確定申告によって各都道府県に所得の情報が共有されていきます。
そのため、事業開始等申告書の提出有無に関わらず、個人事業税の支払い対象となれば事業主に通知が届くようになっています。

青色申告承認申請書(青色申告を選択する場合のみ)

青色申告をしようと考えている場合には、所轄の税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

開業日から2ヶ月以内が提出期限となっていますが、簡単な書類のため開業届と併せて提出しておくとスムーズです。

先述の通り、開業届を提出していない場合には青色申告ができません。
また、青色申告承認申請書を提出していないと、青色申告のルールに沿って確定申告を行った場合でも白色申告として取り扱われてしまいます。

青色申告をするには開業届と青色申告承認申請書の両方の届出をしていることが必要となるため、いざ申告をしようと思ったら受け付けてもらえなかった!ということがないよう必ず手続きしておきましょう。

開業準備やることリスト

個人事業主として開業するにあたって、各種届出以外にも準備しておくべきことがあります。
以下では、「開業準備やることリスト」を紹介します。

事業用印鑑の作成

個人事業主として働く際に新しく印鑑を作ることは必須ではありませんが、あえて事業用として印鑑を作成するメリットとして、きちんとした印鑑が用意されていることで取引先などから信頼してもらえることや、自身のモチベーションアップに繋がることが挙げられます。

また、一般的に屋号を決めている場合には、事業用として屋号の印鑑を作ることが多いです。

事業用銀行口座の開設

事業用の銀行口座開設も必須ではありませんが、個人用の口座をそのまま事業に使用してしまうと、家計と事業の収支が混ざって管理しづらくなってしまいます。

会計管理をしっかり行うという意味でも、やはり事業用の口座を作っておくことをおすすめします。

屋号を決めていれば、屋号+個人名の口座を作成できます。

事業用クレジットカードの作成

クレジットカードについても銀行口座と同じく、管理のしやすさを考えて事業用を作成しておきましょう。

近年使用されている会計ソフトは、クレジットカードの支払いを連携できるものが増えています。
私的な支払いを手作業で削除する手間を無くすためにも、カードは分けておくのが無難です。

また、代理店開業の場合は、Google、Yahoo!、FACEBOOKなどのデジタル広告は、クレジットカード決済がほとんどです。個人カードの建て替えよりも、法人カードによる支払いの方が原価・経費処理が簡易になるのは間違いありません。ただ、初めて作る事業用カードは、与信枠が少額なものが多く留意が必要です。

会計ソフトの導入

確定申告に備えて、使いやすそうな会計ソフトを導入しておきましょう。

個人事業主で経理を雇わない場合、自身で全て経理業務を行うのはかなりの労力が必要になります。
会計ソフトを使用すれば金額を入力するだけで自動的に仕訳され、確定申告書まで作成できてしまいます。

本業に集中できるよう、ぜひ導入を検討してみてください。

資金調達先の検討

開業にあたって資金調達を考えている人は、その調達先についても検討が必要です。

主に日本政策金融公庫やその他の銀行融資、国や地方自治体からの補助金・助成金などが挙げられますが、それぞれで要件や金額なども異なります。

しっかりと下調べをしておき、スムーズに資金調達が行えるようにしておきましょう。
資金調達については別コラムにて解説しているので確認ください。